パンのパンパンのパン

絵画あるいは芸術祭の不気味な兄弟たち ――グリッド、 指標性のスペクタクル、 委託されたキュレーターシップ 第12回ベルリン・ビエンナーレとドクメンタ15について

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■テクストと作品の膨大な引用と分析が並走することで浮かび上がる世界、 2023年必読の批評を『パンのパン』本誌に先駆け配信します。 ドイツで5年に1度開催される、現代美術の世界の中心たる芸術祭、ドクメンタ。その15回目にして、キュレーターに初のアジア人、初のコレクティブ「ルアルンパ」が就任した。 「反ユダヤ疑惑」に揺れたドクメンタ15と、ほぼ同時期に開催された第12回ベルリン・ビエンナーレ。そのふたつの芸術祭における出展作品、キュレーション、批評、報告書を、美術家・大岩雄典が明晰に問い、辿り、絵画と写真というメディウムへと折り返し...... ■本文より抜粋 ドクメンタ15の足元をすくうのはこの絵画の不気味であった。「最終報告書」ではもうひとつ、上記の三つの出来事に比べると会期中に耳目を集めなかった作品を綿密に分析している。クエスチョン・オブ・ファンディングが協働した、ガザ地区を拠点とするコレクティヴ「エルティカ(Eltiqa)」を構成する画家モハメド・アル・ハワジリ(Mohammed Al Hawajri)の「ゲルニカ・ガザ(Guernica Gaza)」シリーズ…… ドイツが自己を漂白する――あるいは「目をつぶることで、よく見る」――とき、ポストコロニアル理論はもはやエキゾチックに客体化される。ドクメンタ14においてそれを二重に引き受けた「ギリシャ」の位置に今回あるのは、ルアンルパ、ルンブンというインドネシア語の響き、非西洋のコレクティヴだ。…… ■文字数:2万字以上 ■2024年発売予定の『パンのパン4号(下)』に収録予定の原稿を先行配信するものです。

絵画あるいは芸術祭の不気味な兄弟たち ――グリッド、 指標性のスペクタクル、 委託されたキュレーターシップ 第12回ベルリン・ビエンナーレとドクメンタ15について
■テクストと作品の膨大な引用と分析が並走することで浮かび上がる世界、 2023年必読の批評を『パンのパン』本誌に先駆け配信します。 ドイツで5年に1度開催される、現代美術の世界の中心たる芸術祭、ドクメンタ。その15回目にして、キュレーターに初のアジア人、初のコレクティブ「ルアルンパ」が就任した。 「反ユダヤ疑惑」に揺れたドクメンタ15と、ほぼ同時期に開催された第12回ベルリン・ビエンナーレ。そのふたつの芸術祭における出展作品、キュレーション、批評、報告書を、美術家・大岩雄典が明晰に問い、辿り、絵画と写真というメディウムへと折り返し...... ■本文より抜粋 ドクメンタ15の足元をすくうのはこの絵画の不気味であった。「最終報告書」ではもうひとつ、上記の三つの出来事に比べると会期中に耳目を集めなかった作品を綿密に分析している。クエスチョン・オブ・ファンディングが協働した、ガザ地区を拠点とするコレクティヴ「エルティカ(Eltiqa)」を構成する画家モハメド・アル・ハワジリ(Mohammed Al Hawajri)の「ゲルニカ・ガザ(Guernica Gaza)」シリーズ…… ドイツが自己を漂白する――あるいは「目をつぶることで、よく見る」――とき、ポストコロニアル理論はもはやエキゾチックに客体化される。ドクメンタ14においてそれを二重に引き受けた「ギリシャ」の位置に今回あるのは、ルアンルパ、ルンブンというインドネシア語の響き、非西洋のコレクティヴだ。…… ■文字数:2万字以上 ■2024年発売予定の『パンのパン4号(下)』に収録予定の原稿を先行配信するものです。